魚介類をおいしく!

昆布の活用法

高い昆布です。捨てずにいろいろ使いましょう。おいしくて健康にもよい昆布です。
まずは、昆布に関するうんちくから・・・。

 日本では昆布は北海道産と言われています。実際には三陸沖でも採れます。
 日本で初めて昆布という文字がでてくるのは、 西暦797年「続日本記」という書物に中であり、当時から昆布は献上品として扱われ、かなり貴重だったようです。
 昆布が庶民の口に入るようになるのは、室町時代あたりからです。
 特に江戸時代には近江商人 による商取引が活発になり、京都・大阪に昆布が 大量に入ってきます。
 この商取引は、北海道〜日本海〜北陸〜琵琶湖〜京都・大阪という輸送ルートで行われました。
 このルートと後に開かれた日本海沿岸を通り、下関から瀬戸内海を通って大阪まで運ぶルート、そして、九州、琉球、中国(当時は清)、そして江戸に伸びていきました。
 よく、関西は昆布だしで醤油臭くない汁、関東はかつおだしで醤油の真っ黒な汁と言われますが、それにはこの昆布の入手の時期と経路にかかわりがあります。
 もともと関西、特に大阪や京都には日本海からのルートがあります。そこで良質の昆布や鰹節が入ってきます。
 しかし、江戸にはなかなか入ってきません。入ってきても、特に昆布はルートが関西経由であるため、手間隙がかかり高価すぎて庶民の口には入らないのです。そこで考えました。鰹節やさば節では少々魚臭くなるため、それを消すために醤油を大量に使用したと言われています。
 従って、現在でも昆布の消費量は、関東よりも関西、九州、沖縄の方がはるかに上回っています。

 さて、昆布には産地による名前と特徴がありますが、まあ、どれをとっても昆布です。おいしいのです。
 ちなみに一般的には、道南産(特に白口浜、黒口浜、本場折浜は道南高級3銘柄と言われています)、利尻産(道北)、羅臼産(知床半島。日本全国の羅臼昆布消費量のうち大半が富山県でしめられています。)、 道東産(釧路海域〜根室海域。釧路産とか根室産など)、日高産(別名、三石産。日高地方海域です)があり、またそれぞれの採れた海域の名前を付けていることもあります。

 関東では、日高、羅臼、利尻の3銘柄ですが、その他をあまり見ないのには、理由があります。
 そうです、いまだに歴史が残っているのです。他は北陸〜関西へ入っていくからです。

 そこで、私の個人的なお勧めの銘柄をひとつ!
 関東ではめったに手に入らず、関西でも有名店でしか手に入らない産地のものがあります。この際、覚えておいてください。それは「南茅部産」です。函館から室蘭方向へ少し行ったところで、昨年南茅部郡から函館市に合併された地域で取れる昆布です。用途も幅広く、何にでも利用できます。但し、高いです!

 

昆布はなぜ高い?
昆布はなぜ、あんなに高いのでしょうか?それにはもちろん理由があります。

1.天然物である

昆布は天然物です。
冷たい荒海に揉まれてこそ、いい昆布が出来ます。
冬の間、時化となり、そのため海中深くまで海が掻き混ざられます。それによってプランクトンが適度に混ざり、同時に悪い影響を与えるプランクトンも混ざり、昆布が育つ栄養分も適度に分散されます。従って時化が少ない冬の後には良い昆布が採れません。
人が良い状態で過ごしやすい状況であればあるほど、良い昆布は採れないということです。
また、春先に遅い時化が続くと、せっかく芽を出した昆布が全てやられてしまいます。
自然が相手の昆布漁は、大変なものです。

2.採る

昆布の価値は1枚ものであることです。ということは、根から切らずにしかも傷付けずに採れた1枚をいかにして採るかです。
棒の真ん中あたりに昆布の先のほうを巻きつけ、あとは捩じるようにして昆布を根こそぎ剥がすように採ります。これらは熟練された昆布漁師によってなされます。
見事、根っこから採れればよいのですが、途中で切れてしまうことも少なくありません。その場合には、加工品にしたり、おぼろ昆布(とろろ昆布)などにします。
この作業は熟練した昆布漁師によってまだ冷たい5月の海で行われます。

3.作る

採り終えた昆布は、そのままでは駄目です。
乾燥という作業があります。
天然物の本物は、天日干しです。海岸の砂浜に一枚ものを並べ、太陽の日で干し、1日に何回もひっくり返され、それが数日続きます。途中雨でも降って来れば、即刻作業中段。急いで全てを雨宿りさせなければなりません。
1枚採りを失敗したものや形の良くない物は、ボイラーなどを使った人工的な乾燥機に干して作ります。
この作業は、漁の後、夏まで続きます。

4.最終段階=選定

こうして出来上がった昆布は、出荷の前に重要な関門を通らなければなりません。選定です。
それは、長さ、幅、厚み、重さ、そしてキズなどによって○級というランクに分けられます。
最高級のものでは、長さは4m強、 幅45cm、その許される誤差は、わずかに1.5cmだそうです。なんといっても天然です。鋏で揃えたわけではありません。そういう昆布は1枚、小売価格何万円にもなります。
それを決まった長さに折揃え、袋や箱に詰めて出荷です。
従ってこの段階で○級品がきまり、例えば乾燥の際に傷がついたり、割れてしまったものは細かく切って売られたり、削られて売られていくわけです。

 収穫、乾燥、商品化。しかし、その前には昆布の状態を確かめ、剪定もし、まるで子供を育てるのと同じです。その点は、農家の方と似ています。
  昆布の漁師は、わずか3ヶ月間で1年の収入を得ます。良い昆布が採れた年には船一艘をもっている漁師で1500万円、しかし、駄目な年は0円です。
 皆さん、昆布を大切に食しましょう。

 今回の昆布に関する事項は、以下の料理や活用法を含め、店主が愛する、大好きな、そして尊敬する昆布漁を営む叔父さんからの提供です。
いよいよ、料理&活用法です

1.昆布醤油

昆布の切れ端や小さな破片などを使って簡単にできる昆布醤油。
そのような銘柄でかなり売られていますが、わざわざ、 買わなくてもいいんです。
買うとしたら、一つお勧めは、南茅部産の昆布醤油、これは有楽町駅前の北海道物産館で常時売っていますが、とても高価です。
そこでそんな高価な醤油を買わなくとも、おいしい昆布醤油の作り方は以下のとおり!
これは何も北海道だけでなく、関西でも一般的に行なっていた家庭調味料だそうです。

・適当な大きさに切った昆布をそのまま醤油さしやビンに入れてください。
・1日で昆布のだしが出ます。
・あとは通常の醤油としてお使いください。
・昆布をたくさん入れると醤油がねっとりしたり、糸を引くことも。
  これは昆布のエキス(ヨード)がたっぷりの証拠です。
・ここで使った昆布がいよいよだしが出なくなったときは、取り出して食べましょう。
  細かく刻んでお茶漬けに!昆布の佃煮の代わりに!最高です。
・昆布を初めから細かく切って入れてもOKです。そのほうが早くだしが出ます。
*通常の醤油と刺身等で食べ比べてください。おいしさがわかります。

 

2.昆布味噌

昆布醤油同様に味噌の中に昆布を入れてしまいます。昆布だし入りの味噌です。
加えて動脈硬化予防にもなるとか・・・。
・一般に売られている味噌1パックに対し、5cm四方適度の昆布1枚でOKです。
・昆布に暖簾のように3〜5mmくらいの切れ目を入れます。
  (味噌は醤油と違って水分が少ないため、切れ間を入れ成分を出やすくしてあげます)
・味噌の中に埋め込みます。1日でOK。
・時々、混ぜてあげてください。
・最後は味噌汁などに昆布も一緒に入れて食べてください。
・そのままでもOKです。昆布の味噌漬けです。
*昆布の周りの味噌をとり、もろきゅうの味噌にすると味の違いがはっきりわかります。

 

3.出汁をとった後

湯豆腐などのあと、だしをとった大きめの昆布、そのまま捨ててませんか?
ちゃんと使えますよ!
・細かく刻んで、醤油と酒とみりんで煮付けます。
・そうです!即席の昆布の佃煮です。

 

4.いよいよ最後です

冬場、お風呂であったまりた〜いという方にお勧めの最後の使用法です。
・出汁もとったし、食べることもない、または根株の基のような部分で固くて食べられない、そんな場合の最後の手段です。
・適当な大きさや薄さに切り、ネットなどに入れてお風呂を沸かす時に最初からドボン!
・実に温まるお風呂になります。
・昆布に含まれるあのねっとり感(ヨード)が保湿成分と保温効果、加えてツルツルのお肌にしてくれます。
*美容と健康のための昆布湯です。ゆっくりじっくり温まってください。
  但し、多少昆布の匂いがします。
*そして、これは最後の手段です。使用後はいよいよ生ごみとともに・・・。

 

*番外編
  トンでもない
   昆布料理

実は、とんでもない料理があります。先に言っておきますと、通常は食べられません。
それは・・・
「こんぶのわかめ」という代物です。
なんだ〜?とお思いでしょう。
これ、実は正確には「昆布の若芽」です。
うんちくの中にもありましたが、剪定をする際に採った、若芽つまり昆布の穂先です。
大体12月の初旬から長くても末までです。
それを刻んで、三杯酢にしょうがをちょっとおろして・・・で食べます。
う〜ん!なんともうまい。なんともいえない味、そして歯ざわり。
見た目は厚めのワカメ、味はもっと濃くて昆布だしのような、なんともいえないすごい代物です。
しかし、残念ながら小売はされておりません。
漁師の密かな楽しみというか、食物を大切にする表れで、実は1番おいしいものです。
店主は、そんな親戚付き合いにより、頂いております。
知り合いが、どこかから聞きつけていて、ずっとそれを1度食べてみたいと言っております。
ムフフっ!

そこで、もどきを紹介!
よく、早煮昆布という名で柔らかい昆布を売っています。この際細かく刻んでしまうので不ぞろいなもので結構。
それをまずはそのまま、さっと茹でます。茹で汁は大事な出汁ですからその後料理に使いましょう。
茹でた早煮昆布を一口大に切り、三杯酢としょうがを少々おろして出来上がり。
本物は綺麗な緑色で、つるんとしてますが、そこはこの際我慢!
ワカメの酢の物でも同じようですが、とにかく本物は違うんです。

そして、本物を食べたい方!
それは、12月中旬から下旬にかけて北海道は昆布漁を行っている場所で、昆布漁師さんに気に入ってもらい、分けていただくしかありません。 しかも日持ちしませんから、三杯酢+おろししょうが持参ですね。

 

*めんどくさいこと言わない!
これが簡単&贅沢

昆布を適当な大きさに切り、火であぶります。
出来上がり〜。それをパリパリ、またはしゃぶるというものです。
といっても食べる分だけ炙るのにはちょっともったいないので、炙った昆布は細かく切ってビンにでも入れておきましょう。
昆布漁の家では、これが何よりのおやつ&酒のつまみ!
なんて贅沢な・・・・ですよね。
なお、昆布醤油で使った昆布でも出来ます。、ちょっとしょっぱいですが、これをお茶漬けにして食べると醤油の香ばしさが出て、最高の贅沢になります。
やはり贅沢は、手間隙かけないと・・・。

 

*昆布は
   そう簡単には
     捨てない!

昆布はそのままにしておくと、周りに白いカビのようなものがたくさんつき始めます。
でも、捨てないで!
これは昆布のうまみ成分であるグルタミン酸と栄養分であるマンニットの結晶です。
従って、昆布は普通水洗いせず、手や布巾などで軽く汚れを落とすだけでよいのです。
私なぞ、軽く、パンパン!とはたいて終わりです。
くれぐれも大切に!
但し、匂いを嗅いでかび臭いようでしたら、食さずにお風呂へ・・かな?

 

しらす
よく見るしらす。これってなーに!

しらすってどんな魚?

日本全国、いたるところで採れます。
その正体は、一般的にはイワシの稚魚を総称して「しらす」と呼んでいます。イワシの種類 「マイワシ」「カタクチイワシ」「ウルメイワシ」等、色々な種類がいますが、種類に関わらずシラスと呼んでいるのが普通です。その中で市場に出回っているものでもっとも多いのは、主に「マイワシ」と「カタクチイワシ」の稚魚です。
実は、あまり知られていませんが、成長にともなって「しらす」は「チイカ」「カエリ」「ジャコ」「イワシ」と呼び名が変わっていきます。そのような意味では俗に言う出世魚なのですが、なぜかいわしについてはそう呼びません。これは店主の憶測ですが、1匹と数えられる程度の大きさになってから成長を続けるというよりも稚魚の段階で一部で名前が変わっているだけなので、出世魚には数えられないのではないのでしょうか。またもともとブリなどの出世魚と違い、どちらかというと庶民の口に入る魚でしたからそれほど出世とは繋がらないと考えたのではないかと思います。
「しらす」も小さいながらもちゃんと魚です。今度「しらす」を食べるときによく見てください。種類の違いがわかるはずです。
なお、地方によっては、「イカナゴ」や「ウナギ」・「アユ」なども全て含めて3cm前後からそれ以下の稚魚を全て「しらす」と呼んでいる所もあります。

これも一般にですが、「しらす」というと蒸した状態の「しらす」か、その後軽く天日干ししたもの。もっとしっかり干すと「じゃこ」と呼ばれているようです。(この中間に位置するものを
「たたみいわし」はこの「しらす」を集めて1枚の板状にしたものです。おもにカタクチイワシの稚魚が使われます。

*稚魚は意外と食べられています。珍味として扱われることが多いのですが、いわば「しらす」もそうなのかもしれません。ちなみにあなごの稚魚は「のれそれ」と言って珍味です。店主はこれがたいそう好きですが、大して量はいりません。小鉢一つ位だと大好物です。

名産地は?

日本全国で採れますが、その地域によっては名産としているところがあります。
関東近県で有名なのは、静岡県の駿河湾沿い。そして近いところでは相模湾。江ノ島でも有名です。茨城県の海岸沿いや瀬戸内海、北海道、九州・・・どこでも海辺では生きの良いシラスが採れます。
その中で生のしらすを出す地域もあります。また蒸しただけの地域やさらに天日干しにする地域などいろいろです。
生のままのしらすを扱うところもありますが、ご存知の通りイワシは足が速い魚の代表です。(漢字で鰯と書くくらいですから。)それを生でというと相当鮮度がないと駄目です。そのため、一部ではお店に並ばないこともあり、むしろそれを売り物にしている地域が名産地のように言われています。

しらす料理

*生しらす

生しらすは堪えられない!と言う人は意外と多いものです。
あったかいご飯の上に生のしらすをどっと盛り、そこにわさびかしょうがをおろし、醤油をかけてがーっと食べる。豪快な漁師料理です。(もちろん、醤油は昆布醤油で)
しかし、本当においしい生しらすを食べられるのはイワシ(しらす)漁をしている漁師さんや船がつき陸揚げされるところにいる人だけです。それは生きたしらすをそのまま食べるからです。
「名物生しらす」と銘打っている店では、本当のおいしさではありません。すでに生きていないからです。しかし、朝陸に上がったしらすを午前中に食べる位ではOKでしょう。
従って家庭でというと普通の場合にはちょっと難しいかもしれませんが、方法は簡単です。先に示したとおり。この際、醤油持参で漁船着き場へGO!かな?
実は店主は、この状態の生しらすは食べたことがありません。直送!と書いてあるものを食べましたが、すでに生臭さは否定できませんでした。是非1度ピチピチのものを食したいものです。

*しらす(じゃこ)の冷奴乗せ

これはご飯にも酒の肴にも堪えられない一品!
しらすまたはじゃこをごま油を引いたフライパンで炒めます。
火が通ったら、鰹節をパラパラ・・・。そして酒(やや多め)・醤油で味付けをし、最後に七味トウガラシをお好みで。
これを熱いまま冷奴の上にドーンと乗せます。これで出来上がり。
場合によっては直接ご飯に乗せてもOKでしょう。


*しらすのかき揚

簡単です。しらす(できたら生しらす)を使ってかき揚にします。それだけです。
静岡ののん兵衛仲間に教わりました。
ちなみに静岡では、生の桜海老もよくかき揚にするそうです。

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