第2話 オルゴールのはじめは?

 こんにちは。ボク、「オルゴール」。

 今回は、ボクがどうやって生まれたのかを教えてあげるね。

 むかしむかしベルギーのブリュッセルにある聖ニコラス・カークの塔につけられたメロディーを奏でる鐘がつけられました。これがボクの祖先。カークとはオランダ語で教会。つまり聖ニコラス教会の塔にあったわけだね。
 この頃の教会には塔があって、そこに鐘が吊ってあり、何かの時にはその鐘を鳴らしていたんだけど、音の高低が違う複数の鐘を並べることで、その鐘の叩く順番によってメロディーが出るようにしたんだ。

 鳴らすための装置は、今のオルゴールに似ていて、木製の円筒に釘みたいなピンを打ち付けて、ピンによって押し上げられる木の細い板がついていて、その先には紐がついてる。紐は塔の上にある鐘を叩くハンマーに繋がってる。円筒を回転させるとピンが板を弾いて紐が鐘につけられたハンマーを叩いて音を出すという仕組みなんだ。
 それ以前は、教会の人が直接鐘を叩いていたんだ。でもこれはオルゴールにはならないんだよ。なぜ?オルゴールは自分で演奏できなければいけないんだ。演奏者が誰か別にいるのではなくて、オルゴール自身が演奏者じゃなくちゃいけないんだ。
 この装置を「カリヨン」というんだ。だからカリヨンがオルゴールのはじめだよ。

 この聖ニコラス教会にあったオルゴールの祖先は記録によると1381年に作られたらしい。今もこの教会は現存しているんだけど、残念ながら塔やボクの祖先は無くなってしまった。

 15世紀になるとさまざまな産業が発展してきた。その中でも15世紀初めに発明された「ゼンマイ」は、ボクを大きく前進させたんだ。そう、時計。ゼンマイによって動く時計だ。なんとその時計にボクを入れようとした人たちがいた。時計職人さんたちだ。

 木で作られた円筒やピンを鋼鉄でつくって、鐘のかわりになる音を出す部分はやはり、薄い鋼鉄製。ピンが直接鋼鉄製の薄い板を弾くことで音がでるという仕組みで、これが瞬く間にブームになっていったらしい。時計が時報を知らせる時に、メロディーが流れるわけだから楽しいよね。
 まず、1776年にスイスの時計職人アンティッド・ジャンビエという人が懐中時計の中に音のでる鋼鉄製の板を並べ、円盤にピンを埋め込み、それが板を弾く装置を作って人々を驚かせたらしい。この形は最小最薄型に出来、世界でもっとも小さなオルゴールは、1820年代にアイザック・ダニエル・ピケという人によって作られた懐中時計の中に仕込まれたもので、直径5.1cm、厚さ1.1cmの円形ケースに収められたもので、こいつは今でもスイスの博物館飾られている。
 次に円筒を使ったシステムが発明され、この第一号は1796年のこと。スイスのアントワーヌ・ファーブルという人によって装置が完成した。

 この新しい機械は鋼鉄製の円筒があることからシリンダーオルゴールと呼ばれているんだけど、このオルゴール、今も一般的なオルゴールの形で、細かい部分の改良はあるけど、基本的には変わっていないんだ。200年以上前に作られたものが今でも作られているってわけさ。

 この頃の時計職人さんたちは、自分の腕を見せるために競って作ったらしい。大きいものでは塔の上にある時計から小さなものでは懐中時計の中にまでオルゴールを入れ、その技術を披露したんだって。もちろんすべて手作り。
 もっともすごいのは、ピンを1本1本手作業で植えていくこと。ちなみに今も超高級オルゴールはそうやってつくってるんだけどね。

 というわけで、これがボクの発祥の秘密さ。
 最初は巨大なものでいきなり小さくなって生まれた。こんな変化は他にはあんまりないよね。

 ついでに、ちょっと今後のためにも専門用語を覚えてね。
 今回紹介した円筒のものをシリンダーというんだ。それから音がでる鋼鉄製の薄い板を櫛歯(くしば)と言うんだよ。ちょうど櫛みたいになってるからだって。あとはシリンダーに刺さっている棘みたいなもの、それはピン。

 今回はここまでね。次回はね、そうだ、大事なことを話しておかなくちゃ!オルゴールってなんでオルゴールっていうのかってこととオルゴールってなに?っていう大事な話です。

 じゃーね。ピロリ〜ン!

 

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